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「提督、司令部より電報が届きました」
アルフレートの横には女性が立っている。
彼女はバスラーの副官のアイラ・アロネン中尉だ。
黒髪ストレートは長く、前髪は切り揃えられている。
性格は穏やかだ。
「平文に直してあるか?」
「はい」と言って、電報を手渡した。
それを受け取り、文に目を通した。
「ようやくご命令か。アロネン中尉、艦隊と地上部隊に進軍命令を出してくれ。目標は帝国首都エーリューズニル」
「了解しました」
アイラは通信手に伝えた。
2分後、アルフレートの乗っている空中戦艦イルマタルが浮遊し始めた。
空中戦艦とは、ユグドラシル大陸では一般的な燃料である魔力水を燃料に用いて60メートル程度の高さで浮遊し、移動する戦艦のことだ。
武装は正面に対艦用の艦砲と艦の底部に対地機関砲がある。
艦砲は通常6門で、指向性のある魔導砲。
機関砲は口径40ミリである。
魔力水を使ってシールドを展開することができるが、対艦砲を1発でも受けると消滅してしまうので、シールドが途切れないように展開中は常に魔力水を供給し続けるために燃料の消費が大きくなるのが欠点だ。
1個艦隊の規模は大体が50隻となっている。
それに歩兵師団や機甲師団が随伴している。
ただ、空中戦艦は巨大なため大規模な設備が必要で、そのための莫大な設備投資が必要となり、小国では配備されていないか1個艦隊が存在する程度だ。
アルフレートは緊張した面持ちで外を映し出すスクリーンを見つめる。
スクリーンは先ほどまで待機していた湖を眼下に映し出している。
このあたりはもともと帝国領だが、開戦2年目の現在では帝国北部を占領して首都に迫りつつある。
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