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アルフレートがスクリーンを見つめていると、足音が近づいてきた。
「提督、我々の針路上にはグニパヘリル渓谷があります。おそらく敵が待ち構えているでしょう。迂回して進みますか?」
足音の主はラッシ・アハティラ大佐。
この艦隊の参謀長をしている。
肌は女性のように白く、縁の細いメガネをかけていて、見る人に切れ者のエリートという印象を抱かせる。
「いや、燃料を消費しすぎるからダメだ。渓谷で交戦する。敵の規模がわかり次第報告してくれ」
「わかりました」
ラッシはブリッジから退出した。
アルフレートはラッシに話しかけられる前と同じように、スクリーンを見つめた。
そこにはもう湖の姿はなく、平原の上を約30ノットで進んでいる。
この速度なら渓谷まで3時間で到着するだろう。
アルフレートはそう思った。
そう、3時間後だ。
3時間後に自分の艦隊司令官としての力量が問われる。
なんとしても勝利しなければならない。
そう思うと、アルフレートの手の平に汗が滲んだ。
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