9人が本棚に入れています
本棚に追加
一通り検査を終えて、また診察室に呼ばれカズミはタカヤと向かい合う。
カズミの心は不安で押し潰されそうだった。
「検査の結果、痛みの原因は盲腸だったみたい。今の医療技術なら日帰りで手術出来るから心配いらないよ」
「良かった」
張りつめていた緊張から解き放たれたカズミはほっと胸を撫で下ろす。
「ホント良かったね。俺にしか治せない病気だったら10年前に浮気されて捨てられた怨みをはらすために、
俺はカズミの治療を拒否してたよ」
タカヤは満面の笑みでそう言った。
しかし彼の目は全く笑っていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!