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診察室のひじ掛け付きの高級そうな革の椅子に10年前に別れたタカヤが座っていたからだ。
「苗字が違うから別人かな、と思ったけど、やっぱりカズミか」
タカヤは爽やかな笑みを浮かべカズミに自分の目の前の椅子をすすめた。
戸惑いながらカズミは平静を保とうと努めたが、真っ直ぐにタカヤを視る事が出来ずにいた。
「久しぶり」
カズミはタカヤに笑顔を向ける。
しかし、自分でも上手く笑えていないと解るくらい固い笑顔だった。
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