黒猫

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「土方さーん!」 「なんだ…騒がしい奴だな、総司は」 目の前のこいつ、沖田総司は肩で息をしながら更に言葉を続ける。 「黒猫がいるんです!」 「…はぁ?」 「だから、くーろーねーこ!」 俺は総司の的を得ない返答に苛立ちを隠せず、強い口調で言った。 「黒猫がどうしたってんだ!どこにでもいるじゃねぇか、んなもん。大体俺は忙しいんだよ。用がねぇなら出てけ」 案の定総司は口を尖らせて、めげることなく返す。 「ただの黒猫じゃないんですよぅ。…とりあえずついて来て下さい!ねっ!早く!」 そう言い終える前に俺の腕を掴み、グイグイと引っ張って行く。 ほんとこの馬鹿力には困る。 強引さにも困る。 黒猫にただの黒猫もただの黒猫じゃないもあるもんか! でたらめ言いやがって! そんな思いを抱えつつも、しぶしぶと総司のあとをついて行った。
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