41人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「土方さーん!」
「なんだ…騒がしい奴だな、総司は」
目の前のこいつ、沖田総司は肩で息をしながら更に言葉を続ける。
「黒猫がいるんです!」
「…はぁ?」
「だから、くーろーねーこ!」
俺は総司の的を得ない返答に苛立ちを隠せず、強い口調で言った。
「黒猫がどうしたってんだ!どこにでもいるじゃねぇか、んなもん。大体俺は忙しいんだよ。用がねぇなら出てけ」
案の定総司は口を尖らせて、めげることなく返す。
「ただの黒猫じゃないんですよぅ。…とりあえずついて来て下さい!ねっ!早く!」
そう言い終える前に俺の腕を掴み、グイグイと引っ張って行く。
ほんとこの馬鹿力には困る。
強引さにも困る。
黒猫にただの黒猫もただの黒猫じゃないもあるもんか!
でたらめ言いやがって!
そんな思いを抱えつつも、しぶしぶと総司のあとをついて行った。
最初のコメントを投稿しよう!