黒猫と歳三

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なんかあったけぇ… 「ん…」 俺は胸元に温もりを感じ、まだ寝惚けている目を擦り、温もりの正体を確かめた。 「…猫……」 押し入れから出てきてたのか。 横を向いて寝転んでいる俺の胸元で、小さく丸まる猫。 気持ち良さそうにスヤスヤと寝息を立てている。 「どういう風の吹き回しだ…」 引っ掻いたこと、ちょっとは反省してんのか? 「…いや、反省しなきゃならねぇのは…俺の方か」 面倒臭いと思いつつも、こいつを傷付けてしまった事は事実だ。 事情はわからないが、こいつも苦労してきたに違いない。 目ぇ覚ましたら謝らないとな。 あと…名前もつけてやろう。 こいつにぴったりの、良い名前を。 起こさない様に、そっと猫を撫でれば、俺はもう一度目を綴じた。
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