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「おい!起きろ!」
「っ…」
急に大きな声が耳に届いたあたしは、思わず体がビクッとなり、飛び起きた。
「夕飯の時間だ」
夕飯!
あたしは腹ペコだったから、眠気なんてすぐに吹き飛んだ。
「お前も一緒に…なんてこたぁ無理だから、あとで持ってきてやる」
「うん…ありがとう」
そうね、
他の人には内緒だもの。
ちょっと部屋から出て、みんなと食べたい気持ちもあるけど…
我が儘は言ってられない。
約束守らなかったら、川に捨てられるんだもん。
あたしは肩を落として、うつむいた。
でも、総司くんに会いたい。
うたた寝をしている時に、総司くんと出会った時の夢を見ていた気がする。
なんだか懐かしいような、安心するような。
だってこのお偉いさん、
ちっとも優しくない。
総司くんの方が100倍は優しい。
確かに、こんなあたしを置いてくれる良い人だけど、
総司くんはこの人の何を好きになったんだろう。
あたしもこれからこの人を、
好きになれるかな?
「飯食ったらすぐ戻るから、じっとしとけよ」
お偉いさんは無愛想に言えば、さっさと部屋を出て行ってしまった。
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