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「んで、お前は…猫のまま食え」
「え…」
そりゃいつも猫の姿のまま食べてたから、違和感は無いけど。
あたしだって、たまには
人間の姿で、人間のご飯が食べたい。
「文句があるなら飯は没収だ」
うってかわって冷たい態度のお偉いさん。
さっきみたいにずっと照れてたら良いのに。
あたしは渋々頷けば、用意された御膳の前に座った。
「俺の飯、少しわけてやるから待ってな」
そういうと、空の器に全ての料理を少しずつ、ついでくれた。
「…あんたのごはん、へっちゃったね」
「しょうがねぇよ。余分に飯を持ってったりしたら他の奴らに怪しまれるだろ。ただでさえ、部屋で食うっつーことが不自然なのによ」
そっか。
そうだよね。
「ありがとう」
「…ほら、折角の飯が冷めちまう。さっさと食うぞ」
ぶっきらぼうに言いながらも、顔は少しだけ、微笑んでた。
あたし、単純だから
そういう些細な事で、凄く嬉しくなるよ。
「…いただきます!」
ありがとう、ありがとう。
総司くん。
そして、お偉いさん。
あたしはこんな姿になって、初めて、
こんな美味しいご飯を食べた。
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