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こんなに嬉しいことって、
今まであっただろうか。
昔の記憶はないけれど、猫になってからは散々な毎日だった。
そんな毎日が一変。
なんだかあたしは、今日が幸せの頂点なんじゃないだろうかと思ってしまう。
だって…
だって…
だって!!
「あたしは…千景!!」
嬉しくなって思わず走り回ってしまう。
「ったく。喜び過ぎだっつーの」
だって!!
本当に嬉しいの。
ちゃんと意味まで考えてくれて。
お偉いさんが、一生懸命考えてくれてる姿を想像すると、
嬉しくてたまらないんだ!
ボンッ
自制の効かなくなったあたしは
気付いたら人間の姿で、お偉いさんに抱きついていた。
「…っありがとう。ありがとう、あんた」
「なっっっ……~~!あ、ありがとうって思うんだったら、あんたって呼ぶな馬鹿!」
「…歳三」
「っ…呼び捨てかよ」
「歳三…ありがとう」
きっと、今、お偉いさん…歳三は顔を真っ赤にして、ぶっきらぼうな表情をしてるんだ。
「人の話を聞け…!」
「へへっ」
でもね、そんな表情してても、あたしの頭を優しく撫でる手がある限り、あたしはきっと、
きっと、この人の事が大好き。
だって……
「とにかく!…お前は今日から千景だ」
あたしの名前は千景だから!
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