黒猫

3/4
41人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「んで?そのただの黒猫じゃない黒猫とやらはどこにいんだ?」 「実は…他の隊士に見つからないように、蔵に隠してるんです」 「蔵だぁ?んなもん猫ならすぐに逃げれるだろうが」 総司はニヤッと悪戯に笑えば、得意気に言い放つ。 「だーかーらー、ただの黒猫じゃないって言ったでしょー?」 まぁすぐにわかりますから!と、まるで玩具を見つけた子供の様に楽しげだ。 そんな話をしていたらあっという間に蔵の前。 「さ、入りますよ。土方さん」 「やけに偉そうだな、てめぇは」 「細かいことは良いから良いから!ほらほら!」 俺の立場やムッとした顔もなんのその。 総司はまたもや強引に俺の背中を押して、蔵の中へとやった。 いつもと変わらない静まりかえってひんやりとした蔵の中。 俺は一応辺りを見回してみる。 が、特に変わった様子はない。 すると、そんな俺の横に総司はしゃがみこみ、手を二回パンパンと叩いた。 「猫ちゃーん。偉い人連れて来たよー。出ておいでー」 総司がそう言うと、一瞬何かが俺の視界を遮った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!