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「んで?そのただの黒猫じゃない黒猫とやらはどこにいんだ?」
「実は…他の隊士に見つからないように、蔵に隠してるんです」
「蔵だぁ?んなもん猫ならすぐに逃げれるだろうが」
総司はニヤッと悪戯に笑えば、得意気に言い放つ。
「だーかーらー、ただの黒猫じゃないって言ったでしょー?」
まぁすぐにわかりますから!と、まるで玩具を見つけた子供の様に楽しげだ。
そんな話をしていたらあっという間に蔵の前。
「さ、入りますよ。土方さん」
「やけに偉そうだな、てめぇは」
「細かいことは良いから良いから!ほらほら!」
俺の立場やムッとした顔もなんのその。
総司はまたもや強引に俺の背中を押して、蔵の中へとやった。
いつもと変わらない静まりかえってひんやりとした蔵の中。
俺は一応辺りを見回してみる。
が、特に変わった様子はない。
すると、そんな俺の横に総司はしゃがみこみ、手を二回パンパンと叩いた。
「猫ちゃーん。偉い人連れて来たよー。出ておいでー」
総司がそう言うと、一瞬何かが俺の視界を遮った。
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