10人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたの謝る所じゃな――」
「違います」
謝る所じゃないってば、と言いかけた私を遮って、彼が強い口調で言った。
先程とは違う、決意を宿したかの様な目に気圧され、今度は私が押し黙る。
「高島裕美子さん、僕は」
握っていた拳をテーブルに軽く叩きつけ、何もない空間に一瞬目を走らせてから彼は真っ直ぐ私を見た。
「僕は貴女が好きなんです」
「…………え?」
「なのに」
こんな事を、と肩を落とす未だ名も知らぬ男の前で、私は自分が発すべき言葉を探した。
最初のコメントを投稿しよう!