◆第1章◆

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「久保山正義、8月10日、午後3時28分16秒生まれ。身長168㎝、体重54.6kg。面倒なことを嫌い、生まれてから30秒後泣き始める。親友は荻原龍之助、姫宮颯士。3歳の頃からの幼馴染みは、林道彩葉」 ………流石に鳥肌立ったね。 だって、有り得ないだろ。なんで全部当たってんだ。何で全部知ってるんだ。 城ヶ崎は、僕を見た。何だそれは。ドヤ顔か?ドヤ顔なのか?こうゆう時、どんな反応をすれば一番現実的なんだ。 「城ヶ崎…それ、誰に聞いたんだ?」こんなもんか? 「誰にも。エメには分かる」 言うと思った。 「じゃぁ何だ、お前はあれなのか?超能力者なのか?」 「違う」 「じゃぁ、宇宙人?」 「違う」 「じゃぁ何なんだ。頼むから教えてくれ」非現実的な答えが返って来ても、僕は信じないだろうけど。 「此処では、不特定多数の人間に、正体がバレる。だから、言わない」 そう来たか。 「ならいつならいいんだ。放課後か?」 「それなら、いい」 ……そんなこんなで、僕と城ヶ崎は放課後の誰もいない教室に居るのだが。 教室内は綺麗なオレンジ色に染まっている。 だがそんなこと、今の僕にはどうでも良かった。 目の前には、腹を開けて体内を見せている城ヶ崎の姿があった。思わず、持っていた通学鞄を床に落とす。ヤバい、春にも関わらず手汗が凄いことになっている。 ……人間じゃ、なかった。 超能力でも、宇宙人でもなかった。 城ヶ崎の〔中〕は、偉い綿密で、赤やら青やら黄色やらのカラフルなコードが何本も通っていた。グゥワングゥワンと、小さいながらも一定のリズムで機械の動いている音が聞こえる。 城ヶ崎は無表情のまま腹部を元あった通りに直すと、静かに言った。 「これがエメ。宜しく、せいぎ」
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