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翌日、
本当に死にたい気分になった僕は、世界の不合理さに絶望しきった顔で授業を受けていた為、教師に名指しされても何も答えることが出来ず、休み時間職員室へ行かなければならならい羽目になった。最悪だ。
「久保山、お前何か悩み事でもあるのか?」
低くも高くもない声でそう聞かれ、僕は座っている担任の目を見ずに答えた。
「別に、特に無いですよ」
毛の無い担任の頭頂部が電灯で反射して眩しい。まだ若いのに気の毒な。
「いや、先生には分かるぞ。お前、さては恋をしてるな?授業中何度も溜め息ついてるだろう?」また訳分からん屁理屈を。
「してませんよ。とにかく、これからは真面目に授業受けますから」
「いいや、言ってみろ。相談に乗ってやるぞ?誰が好きなんだ?」
面倒臭いにも程があるだろう、この禿教師。
なんとか質問を受け流して回避した僕は、トボトボと教室に向かって歩いているところを、名前の知らん女子に話掛けられた。
「ねぇ、久保山君」
長い灰色の髪を後ろで一つに編み込んでいる、黒縁眼鏡を掛けた女子。あ、確かこいつ、僕のクラスの委員長だったような。
「何だよ、疲れてるんだけど」
「あらそう。でも、これ渡すことくらい出来るでしょ」
丁寧に白い封筒に包まれた手紙を渡される。
「…何だ、これ」
まさか、ラブレターか?
「渡して欲しいのよ、荻原君に。貴方、仲いいでしょ」
淡々とそう言ってのけると、彼女はさっさと教室に戻って行った。
淡泊そうに見えて、恋愛するんだな。
教室に戻ってすぐ、僕は龍之助に手紙を渡した。
「これ、このクラスの委員長から」
「えっ、何、ラブレター!?」「恐らく」
龍之助は目を輝かせて封を切った。何がそんなに嬉しいんだ。ってゆうか、この時代にラブレターなんて古風過ぎやしないか?
「……なんて書いてるんだ?」
「……………」
「おい」
「……………」
「龍之助?」
どうした。思考停止したか?声も出ないような驚愕な文章が書かれているのか?
「………せ、正義」
「ん?」
「委員長って…まさか、片篠紬(かたしのつむぎ)のことか?」
「知らん」
「一番下に、書いてるんだよ…」
「書いてあるならそうなんじゃないか?」ってゆうかそれしか有り得んだろう。
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