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流石に引いた。
……これは、俗に言う〔腐女子〕ってやつか…?あんな顔して脳内ではこんな恐ろしいことを考えていたのか。龍之助のあの反応がやっと理解出来た。
僕は彼女の為にもその恐ろしい手紙をビリビリに細かく破ってから、ごみ箱へ捨てた。この世には様々な人間がいるんだな。
「正義」
感情の無いその声で名前を呼ばれて、僕は仕方無く振り返った。
「…呼んだか、城ヶ崎」
彼女には出来るだけ関わりたくない。
何故って?彼女は人間じゃないからだ。腹ん中をグゥワングゥワンさせているからだ。そんなのに関わって、いいことがある筈も無い。面倒臭いことがあるに決まってる。
「正義、駄目、離れて」
「……は?」
「危険、離れて」
…訳が分からん。だが、一先ず彼女の言うことを聞くことにする。――――その瞬間、教室中に爆発音が響き渡った。
見ると、炎を上げたごみ箱が、粉々になって散らばっている。
「なっ、」
「何今の?」
「きゃー!爆弾だよ絶対!」
クラスメート達が騒ぎ始める中、城ヶ崎だけは平然としたまま、静かに言った。
「正義、狙われてる」
僕が狙われてる?これは何だ、新手のドッキリか?そう言いたいけど、言える訳も無い。
片篠が僕を見ていたからだ。
今にも人を殺しそうな、冷めた目で。
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