◆第1章◆

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自宅に帰る途中、まだ6歳程の女の子が道端に蹲って泣いていた。どうやら転んで怪我をしたらしい。右膝から、血が流れていた。 普段の僕なら絶対にしないことを、次の瞬間僕は行動にうつしていた。 「どうしたんだ?痛いのか?」 「…うっ、うん、痛いよぉ、ひっく」 「お家、何処だ?」…この時の僕は、どうかしていたのかも知れない。 僕は結局、その少女をおんぶして家まで送ってやった。有り得ない。どうかしている。かなり面倒臭い。なんかなつかれたし。 「お兄ちゃん、また来てね~」来ねーよ。 その子の母親には何度もお礼を言われて、午後7時。僕はやっとこさ、自宅へと帰り着いた。 何だろう、お礼を言われるのは別に悪くないのだが、やはり面倒臭い。だがあの時何故か、素通り出来なかった。ついに僕にも、良心と親切と呼ばれるものが芽生えたのか?なんて、な訳ねーよな。
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