プロローグ

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今年は二度目の戦闘だった。 ちょうど 3ヶ月前に幼生体の群れが この一般都市「蒼剣都市ケルニア」の 移動方向にいるのを電子精霊であるケルニアが発見した。 直ちに非常体勢がひかれ、武芸者の迎撃も落ち着いて行われた。 その時は、少しの緊張はあったかも 知れないが焦りはなかった。 しかし 今回は電子精霊の発見が遅れ、なおかつ汚染獣が幼生体ではなく 成体が雌雄どちらも同時に二匹出てき た。 ケルニアの武芸者は皆慌てて迎撃体勢に入ったが、状況は緊迫していた。 「第二部隊は第一部隊のバックアップをしろ!第三部隊はもしもの為に戦線を一個下げて待機!」 武芸者の指揮をしている男がそう叫んでいる。 その指揮を端子越しに聞きながらただ、呆然と荒れた大地を眺めてる少年がいた。 「マズイな…」 そう呟きながら基礎状態の錬金鋼を 握りしめる人影があった。 都市外装備を身を包み、内力系活剄を足に回し汚染獣の元に跳躍する黒髪の少年だ。 (今年は二回目か…やだな…) 不安そうな顔をしていた。 跳躍の途中に念威端子がこちらに近づいてきた。 (雄生体はこちらの武芸者で対処します ので雌生体は貴方の方でお願いします) 「分かりました」 念威操者からの連絡を受け活剄をさらに強め跳躍する速度 を上げる。 その時には少年の顔から先ほどの恐怖は消えていた。 (前方距離30メルトル。戦闘を開始してください。くれぐれも気をつけて) 汚染獣が見えた。 「了解」 少年は小さく頷き、再度 錬金鋼を握りしめ、(よしっ!) 「レストレーション!」 復元鍵語と共に 少年の手にした錬金鋼が 目映い光を放ち 剣を型どっていく。 型どったのは一瞬。 その錬金鋼が復元されたのをみた者は不思議に思ったろう。 その錬金鋼は奇妙な形をしている。 刀身が見えないのだ。 いや、内力系活剄を強め、見ようと思えば見えるかもしれない。 しかし、それはあまりにも薄く、そして とてつもなく細いのだ。
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