第2話 冒険者を倒そう!

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 それから2人は、入念な話し合いを行った。  どんな精霊にするのか。何匹喚ぶのか。契約はどうするか。必要な魔力はどの程度か。何を与えるか。  今のダンジョンに必要なのは、個の力でなく軍の力だ。故に、1匹2匹喚んでも話にならない。  戦力になり、命令を聞き、必要な魔力の少ない精霊。  数時間におよぶ話し合いが終わる頃には、日はすっかりと落ちていた。  フールはそれから魔法陣を描き、グネを呼び出す。 「お呼びでしょうか、主様」 「ああ。グネ。聞くが、お前は純潔か?」  質問の意味が分からなかったのか、グネは答えあぐねる。ユウはこっそりとフールの横腹を突っつき、もっと分かりやすく言えと、小声で耳打ちした。 「……あー、その、なんだ。お前が処女かどうかを聞いているのだ」 「しょ……っ! は、はい。そのような経験は、恥ずかしながらありません」  何を想像したのか、顔を赤らめるグネ。それを怒りだと解釈したフールは (いきなりこんな質問をしたら怒るのも当たり前か)  などと見当違いの事を考える。淫魔のユウには、グネを表情の意味が分かっていたが、放っておいた方が面白そうと思ったのか、何も言わなかった。 「今より我は悪魔を召喚する。それには、純潔な者の血が必要なのだ。グネよ、数滴で構わぬから、この魔法陣の上に血を垂らせ」  そう言ってフールが差し出すナイフを、グネは僅かに落胆した顔で受け取る。 (急に血を垂らせなんて言われたら、そりゃ落ち込むよなぁ)  一つ言っておくと、フールは別に鈍感というわけではない。むしろ感情の機微には鋭い方だ。  なぜこんな見当違いな考えばかりするかというと、彼は魔物──エリートゴブリンが人間に恋をするなど、夢にも思ってないからである。  その固定概念がある限り、フールがグネの気持ちに気づくことはない。 「……これでよろしいですか?」  ナイフで指先を切ったグネは、魔法陣に血を垂らす。途端に、魔法陣は輝きを帯びた。
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