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ゾルゲは髭をなで、マイクとエルメスに顔を向けた。
「俺らは近いうちにそのダンジョンに行ってみるが、お前らはどうする? 仕返ししてぇなら、一緒に来るか?」
「望むところれす~! あのサキュバスにぃ、目に物見せてやりましょ~!」
すっかり出来上がったエルメスがふにゃふにゃしながら、賛同する。マイクはため息を漏らしながら、頷いた。
「ご一緒させてください。俺たちだけじゃ、あのダンジョンはキツいですから」
ゾルゲはニカッと男気のある笑みを浮かべ、自分の酒を一気にあおいだ。
「じゃあ、お前らが全快したら出発すっか。骨折もあったし、3日後ぐらいだな。それまでは、ゆっくり休め。ここは俺が奢ってやらぁ。臨時パーティ結成の祝いだ!」
恐縮するマイクに対して「やった~!」と無邪気にはしゃぐエルメス。彼女は酔いが冷めたら、果てしない自己嫌悪と恥ずかしさに苛まれることだろう。
「おら! 乾杯すっぞ! ナキア、ヤー、お前らもジョッキ持てよ!」
ゾルゲに促され、ナキアとヤーは中身の減っていないジョッキを持って、掲げた。
「マイクにエルメスだったか。よろしく頼む」
「お2人ともよろしくっす。まぁ、気楽に頑張りましょうや」
生真面目なナキアと、軽いノリのヤー。
「駆け出しの若輩ですが、よろしくお願いします」
「よろしくです~!」
それにマイクとエルメスが合わせ、
「そんじゃあ、乾杯だぁ!」
ゾルゲのかけ声で5人のジョッキが音を立ててぶつかる。
剣士マイク、弓手エルメス、斧使いゾルゲ、魔法使いナキア、盗賊ヤー。ここに、偶然にもかなりバランスのとれた臨時パーティが結成された。
そこからはもう、お互いを良く知るためと銘打って、どんちゃん騒ぎに近い宴へと移っていった。
酒場での冒険者など、どんちゃん騒ぎが当たり前なのだ。
翌朝、エルメスが二日酔いと羞恥心で死体のようになっていたことは、言うまでもない。
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