第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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「儂の名はオニのゴッツ。フールの旦那、よろしく頼んますわい」  体も全快し、契約も刻まれたオニは、胡座をかいて頭を下げた。  契約とは精霊や悪魔を構成する魔力に直接呪を刻むことで、いろいろな誓約を加えること。  例えば、今回でいえば、『オニはフールとユウにいかなる危害も加えられない』や、『オニは自分の生死に関わる命令以外は聞かねばならない』などだ。 「ああ。ゴッツ、急で悪いが、お前には今から仕事をしてもらう」  右側にユウ、左側にグネを侍らせマスターの椅子に座ったフールは、真面目な顔でユウの書いた地図を眺めていた。 「ユウと共に森の中へ行って、魔物たちが巣をダンジョン内に移すよう、説得してくれ。力付くでも構わない」 「そういうわけだから、よろしくねん」  フールとユウの言葉を聞き、ゴッツは力こぶを作ってみせる。 「おうさ。任されたわい。ユウの姉御、さっそく行きましょうぞ。腕がなるやな」  ガハハと笑いフールの部屋を後にするゴッツと、ニヤニヤしながらそれを追って飛んでいくユウ。 (あいつら……大丈夫か?)  心配になるフールだったが、あえてスルーしておくことにした。突っ込んでも無駄だと思ったのだろう。 「フール様、私たちはどうしましょうか?」 「……ダンジョン内の整理でもしておくか。魔物の住居区の区切りを、もっと厚くしておこう」  フールとグネは立ち上がり、ダンジョン内へ歩いていった。2人でグレムリンやゴブリン部隊の指揮にあたるのだ。  森の中に入ったユウとゴッツは、地図を見ながら魔物の巣を探していく。 「まずは一番近いトロルの巣に行こうか。ガチムチは睨みを効かせてて。僕が魅了で支配するから」 「ユウの姉御にそんな面倒はかけさせんわい。トロルなんぞ儂が一喝して動かしてみせるわ! ガハハ!」 「うわー、頼もしー」  ゴッツの言葉を半信半疑で聞いていたユウだったが、実際にトロルの巣についてから、目を見張ることになる。  並みいるトロルたちを前に、仁王立ちで腕を組んだゴッツは、大気を震わせる声で叫ぶ。 「こわっぱ共おおおおお! 聞けええええい! 貴様らはダンジョンに住まい、その力をフール様の為に奮うのじゃあああ! 文句を垂れる奴はここに出ろ! 儂が叩っ潰してやるわい!」
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