第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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 この魔法陣は彫印から吸いとられ、ダンジョン内を循環した魔力が最終的に辿り着く場所で、並の者なら衰弱する程の魔力を常に放出している。  フールはもちろんのこと、サキュバスのユウですら、この魔法陣の上に長時間いたら命が危ないだろう。  マナクリスタルだからこそ耐えられる魔力量だ。ちなみに今魔法陣に乗っているマナクリスタルは3体目である。  1体目はフールの羽織る漆黒のローブの内ポケットに入っているもの。2体目はユウが魅了を使う時の魔力ストックとして、彼女の部屋に置かれているものだ。 「ここを使ってみるか」  フールは素早く安置されたマナクリスタルを拾い上げ、急いで魔法陣の上から退散する。 「それじゃ、実験その1だ」  マナクリスタルを部屋の隅にポンと置いたフールは、ダンジョンの方へおもむき、その辺をうろついていたゴブリンを捕まえた。 「ギィ? ギギィ」  何を言ってるか分からないが、気にする必要はないだろう。ただのゴブリンなのだから。  フールは無言でゴブリンの首根っこを引っ張ったまま、魔法陣の部屋に降りていく。  魔法陣を見たゴブリンは、その意味が分かってないようで、ギギィっと首を傾げた。 「逃げるなよ」  フールは無造作にゴブリンを、魔法陣の上に投げ込んだ。 「ギィ? ギ、ギギ、ギギギギギギギギギ」  数分もしないうちにゴブリンの体が痙攣しだし、次の瞬間、粉々に砕け散った。  まさに爆散だ。 (うおっ! ゴブリンは保有限界が低すぎたか。もう少し強い魔物でやってみよう)  フールな自室から召喚魔法の本を持ってきて、手早く魔法陣を描く。彼が喚び出したものは、普通サイズのジャイアントワームだった。 「実験その2だ」  ジャイアントワームに睡眠の魔法をかけ、魔法陣の上まで押して転がすフール。  今回はゴブリンの時より長時間乗せていても、爆散する気配はない。よしと、フールはしたり顔で頷いた。
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