第3話 森のダンジョンを完成させよう!

7/32
前へ
/705ページ
次へ
 しばらくジャイアントワームを観察していると、体の表面がボコボコと波うっているのが分かる。  ニキビのような出来物のような脹らみが随所に現れ、風船のように膨らんだそれは、パンと軽い音を立てて弾けた。  ニキビのようなものと言っても、フールの拳くらいの大きさだ。弾けた後からは、血が噴き出す。  痛みに目を覚ませたジャイアントワームがのたうちまわる。パン、パン、パンと次々にニキビのようなものが弾けていった。  結果、爆散こそしなかったものの、魔法陣の上には原形を留めなていないジャイアントワームの残骸だけが残る。 (おしい……のか? ニキビさえ出来なかったら、なんとかなるかもしれない)  水の魔法と風の魔法でジャイアントワームの残骸を洗い流し、フールはダンジョンの方へ戻っていった。  魔物たちが忙しなく働くダンジョンを進み、グネを見つける。 「グネ。シャーゴブリンで治療魔法が使える奴を何匹か貸してくれ。あと、ウッドウィプスも適当に。忙しいなら、構わないけど」  いきなりフールが来たことで驚いた様子のグネだったが、彼の言葉となればもちろん快諾。  治療魔法が使えるシャーゴブリンとウッドウィプスを3匹ずつ借りたフールは、それらを連れて魔法陣の部屋に降りていった。  あまりに魔力が濃厚なその部屋に、シャーゴブリンは顔を青くし、ウッドウィプスは身体中で歓喜を表現する。  再びその場にジャイアントワームを召喚し、睡眠の魔法をかけてから、フールはシャーゴブリンとウッドウィプスに向き直った。 「今からこのジャイアントワームを魔法陣の上に乗せる。シャーゴブリンはジャイアントワームの治療をしてくれ。タイミングは、見ていれば分かる。ウッドウィプスはシャーゴブリンに魔力を渡してやってくれ。魔力は、この部屋のものを好きに使っていい」  精霊であるウッドウィプスはユウやゴッツのように、魔力の受け渡しができる。これならシャーゴブリンたちの魔力が切れることはないだろう。  この部屋には、以前の魔王の間に近い魔力が渦巻いているのだから。
/705ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19854人が本棚に入れています
本棚に追加