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「始めるぞ」
フールがジャイアントワームを転がし、魔法陣の上に乗せる。
客観的にみたら魔物を拷問しているようにしか見えないが、気にしないでおこう。シャーゴブリンが恐怖に震えているのも、不可抗力だ。
じっとジャイアントワームの体を観察するフール。表面が波うち、ニキビが弾けたところで、シャーゴブリンたちに叫んだ。
「今だ! 治してやれ!」
「ギ、ギィ!」
3匹のシャーゴブリンによって治療魔法がかけられる。ジャイアントワームの潰れたニキビから血が噴き出す前に、傷口は跡形もなく塞がった。
「どんどん来るぞ! 集中しろ!」
ジャイアントワームに3つのニキビが生まれ、弾ける。それを瞬時に治療。
ジャイアントワームが口から血を漏らす。内臓が潰れたのだろう。その体内の傷も、シャーゴブリンたちが治療しようとする。
「ギギギィ!」
おそらく魔力が足りないと訴えているのだろう。
「オオオーン」
それに反応したウッドウィプスが、部屋の魔力を吸い、それをそのままシャーゴブリンに流していく。
まさに永久機関だ。ジャイアントワームは身体中から血を流し、それを一瞬で治療される。
ひたすらのたうつジャイアントワームに、さずがのフールも可哀想に思ってきた時。変化が始まった。
波うっていた白いぶよぶよの体が、固くなってきたのだ。いつの間にかニキビも出なくなっている。
芋虫というか、ほとんど楕円形に変型したジャイアントワーム。徐々に、血も流さなくなってくる。
「よし! もう少しだ!」
「ギ、ギギィ!」
「オオン、オオオーン!」
シャーゴブリンとウッドウィプスも苦しそうだが、ジャイアントワームはさらに苦しそうだ。
のたうつ事を止め、硬質化した肌を動かすこともなく、ただじっとしている。
(死んだか?)
フールが不穏な予感に目を細める中。
パキッ。と音を立てて、ジャイアントワームの背中にヒビが入った。まるで、卵が孵化するように。
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