第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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「始めるぞ」  フールがジャイアントワームを転がし、魔法陣の上に乗せる。  客観的にみたら魔物を拷問しているようにしか見えないが、気にしないでおこう。シャーゴブリンが恐怖に震えているのも、不可抗力だ。  じっとジャイアントワームの体を観察するフール。表面が波うち、ニキビが弾けたところで、シャーゴブリンたちに叫んだ。 「今だ! 治してやれ!」 「ギ、ギィ!」  3匹のシャーゴブリンによって治療魔法がかけられる。ジャイアントワームの潰れたニキビから血が噴き出す前に、傷口は跡形もなく塞がった。 「どんどん来るぞ! 集中しろ!」  ジャイアントワームに3つのニキビが生まれ、弾ける。それを瞬時に治療。  ジャイアントワームが口から血を漏らす。内臓が潰れたのだろう。その体内の傷も、シャーゴブリンたちが治療しようとする。 「ギギギィ!」  おそらく魔力が足りないと訴えているのだろう。 「オオオーン」    それに反応したウッドウィプスが、部屋の魔力を吸い、それをそのままシャーゴブリンに流していく。  まさに永久機関だ。ジャイアントワームは身体中から血を流し、それを一瞬で治療される。  ひたすらのたうつジャイアントワームに、さずがのフールも可哀想に思ってきた時。変化が始まった。  波うっていた白いぶよぶよの体が、固くなってきたのだ。いつの間にかニキビも出なくなっている。  芋虫というか、ほとんど楕円形に変型したジャイアントワーム。徐々に、血も流さなくなってくる。 「よし! もう少しだ!」 「ギ、ギギィ!」 「オオン、オオオーン!」  シャーゴブリンとウッドウィプスも苦しそうだが、ジャイアントワームはさらに苦しそうだ。  のたうつ事を止め、硬質化した肌を動かすこともなく、ただじっとしている。 (死んだか?)  フールが不穏な予感に目を細める中。  パキッ。と音を立てて、ジャイアントワームの背中にヒビが入った。まるで、卵が孵化するように。
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