第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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「あ」  ジャイアントワームを拾いに、意気揚々とダンジョンへ行こうとしたのだが、フールはすっかり失念していた。  ナニかが、フールの部屋の扉を潜れない。全長が4メートルに近く、重厚な体なのだから、当たり前の結果だった。 「……仕方ない。おい、扉壊していいぞ」  フールが許可を出すと、ナニかは数歩後ろに下がり、思いきり扉に体当たりする。  扉は、轟音と共に崩れ去った。  ──壁ごと。 「ああっ! 壁まで壊すなよ! 俺がユウに怒られるだろ!」  フールが怒っていると感じたのか、ナニかは軽く上半身を伏せた。虫型だから分かりにくいが、頭を下げたらしい。  やけにフールに従順なナニかだが、もしかしたこの元ジャイアントワームは、自分を今の姿にしてくれたフールに感謝しているのかもしれない。  手段はどうであれ、彼のおかげで進化できたのは事実なのだから。 「はぁ、まぁいい。さっさと行くぞ」  ユウへの言い訳の言葉を考えながら、フールは適当にダンジョン内をうろつく。ナニかを従えて。どこか、シュールな光景だった。 「お、いたいた。アレを捕まえて、さっきの部屋に運んでくれ」  偶然にもフールの部屋の近くにいたジャイアントワーム。  フールが命令すると、ナニかはドスドスとそれに近寄り、頭で突っつき転がしながら、ジャイアントワームを運んでいく。  ちょっとツッコミを入れたいフールであったが、虫型だから仕方ないかと諦め、先導するように歩いていく。  魔法陣の部屋にフールたちが戻ってきた時、そこにはすでに7匹ずつのシャーゴブリンとウッドウィプスの姿があった。  ちなみにこれは、治療魔法が使えるシャーゴブリンの総数である。 「よし、揃ってるな。今度はこの肥大化したジャイアントワームを使う。皆、気合いを入れろよ」  フールがナニかに視線を向けると、ナニかはジャイアントワームを魔法陣の上まで押しやり、動けないよう足で押さえつけた。  肥大化したジャイアントワームがのたうち回れば、さすがに被害がでる。ナイスアシストだ。
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