第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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 そこからは、先程と同じような光景が広がっていく。ただ、ジャイアントワームのサイズが倍のためか、傷の箇所が多く、シャーゴブリンもウッドウィプスもかなり苦しそうだ。  ようやく硬質化が始まったころには、シャーゴブリンもウッドウィプスも疲れ果てて倒れてしまうくらいに。  ナニかは硬質化したジャイアントワームから満足げに足を退け、フールの側まで下がって、行く末を見届けようとする。  1人と1匹が見守る中、ついに、パキッと音を立て、ジャイアントワームが孵化した。  ナニかより一回り大きな体に、同じような形。ただ、一ヶ所だけが、ナニかとは違っている。  それは、角。頭に、禍々しく凶悪なまでの一本の角が生えていた。  重装備の戦士ですら、突かれればひとたまりもないだろう。見るもの全てにそう確信させる程の、雄々しい角だ。  角まで含めれば全長は6メートルを超えるだろう。 「凄いな……」  フールは思わず呟いてしまう。ダンジョン内のどの魔物と比べても、別格の威圧感。  フールは例外として、現状ダンジョン最強戦力はゴッツだ。そのゴッツとでも、この魔物は良い勝負が出来るであろう。  感動に浸るフールとナニかだったが、そこにとある声が響いてくる。 「壁が壊れてる!? フール! 何してやがるんだよ! 出てこい!」  あ、忘れてた。と、急に冷や汗を流しだすフール。そう、ユウの声だ。  フールがあたふたしていると、隠し通路の奥から、怒気を孕ませたユウが般若のごとき顔で飛んでくる。 「ここかあああ! ダンジョンを壊し──……え?」  フールが生み出した魔物たちを見たユウが、ピタリと動きを止めた。  放心すること暫く。カタカタと音が鳴りそうなぎこちない動きで魔物とフールを順番に見たユウは── 「なんでカブトムシがここにいるんだよおおおおぉぉぉぉ!!」  魂の限りに叫んだ。
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