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そこからは、先程と同じような光景が広がっていく。ただ、ジャイアントワームのサイズが倍のためか、傷の箇所が多く、シャーゴブリンもウッドウィプスもかなり苦しそうだ。
ようやく硬質化が始まったころには、シャーゴブリンもウッドウィプスも疲れ果てて倒れてしまうくらいに。
ナニかは硬質化したジャイアントワームから満足げに足を退け、フールの側まで下がって、行く末を見届けようとする。
1人と1匹が見守る中、ついに、パキッと音を立て、ジャイアントワームが孵化した。
ナニかより一回り大きな体に、同じような形。ただ、一ヶ所だけが、ナニかとは違っている。
それは、角。頭に、禍々しく凶悪なまでの一本の角が生えていた。
重装備の戦士ですら、突かれればひとたまりもないだろう。見るもの全てにそう確信させる程の、雄々しい角だ。
角まで含めれば全長は6メートルを超えるだろう。
「凄いな……」
フールは思わず呟いてしまう。ダンジョン内のどの魔物と比べても、別格の威圧感。
フールは例外として、現状ダンジョン最強戦力はゴッツだ。そのゴッツとでも、この魔物は良い勝負が出来るであろう。
感動に浸るフールとナニかだったが、そこにとある声が響いてくる。
「壁が壊れてる!? フール! 何してやがるんだよ! 出てこい!」
あ、忘れてた。と、急に冷や汗を流しだすフール。そう、ユウの声だ。
フールがあたふたしていると、隠し通路の奥から、怒気を孕ませたユウが般若のごとき顔で飛んでくる。
「ここかあああ! ダンジョンを壊し──……え?」
フールが生み出した魔物たちを見たユウが、ピタリと動きを止めた。
放心すること暫く。カタカタと音が鳴りそうなぎこちない動きで魔物とフールを順番に見たユウは──
「なんでカブトムシがここにいるんだよおおおおぉぉぉぉ!!」
魂の限りに叫んだ。
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