第3話 森のダンジョンを完成させよう!

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 各魔物の巣の配置などを絶妙に調整しないと作れないこのシステムは、ダンジョン作りを知り尽くしたユウと、本により魔物の知識を使いこなしたフールが協力しなければ、絶対に作れない代物であろう。 「フール様、ユウ様、冒険者が5人ほど、ダンジョン内に入りました」  報告するグネの横で、良い笑顔のゴッツが立ち上がる。 「いっちょう儂が全滅させてくるわい」 「おいコラ、ガチムチ。お前が行ったらダンジョンの意味がないだろ。君の出番はまだ先だってば」  呆れながらゴッツを引き留めるユウ。ゴッツはしゅんとなって、床に胡座をかいた。  ガチムチでスキンヘッドな大男がそんな表情をしても、正直気持ち悪いだけだった。 「グネ、今回は初戦だから、指揮はいらないぞ。流れに任せて、ダンジョンの出来栄えを観察しよう」 「分かりました、フール様」  グネは頷き、報告に耳を傾ける作業に戻る。ダンジョン内での戦いの様子を魔物たちから聞き、それをフールたちに実況するのが彼女の仕事なのだ。  自分たちの行動が完全に把握されているとも知らないゾルゲたちは、ちょうどジャイアントワームを斬り伏せているところだった。 「うおおっ!」  気合いと共に振り下ろされるゾルゲの斧が、巨大なジャイアントワームの体を叩き斬る。  胴体の中程までを両断されたジャイアントワームが反撃にでようとしたところに、ナキアの火の魔法が炸裂した。  上半身が消し炭となり、崩れ落ちるジャイアントワーム。マイクとエルメスが必死になって倒した相手も、ゾルゲたちにとっては準備運動代わりだ。 「ゾルゲさん、ナキアさん、やっぱり強いですね」  マイクが目を輝かせる。駆け出し冒険者の彼からすれば、ゾルゲたちの力は尊敬に値した。 「こんくらい、すぐにお前にもできるようにならぁ」  ゾルゲは頬を掻きながら、照れたように言う。無骨な風貌の彼は、あまり誉められ慣れていないのだ。 「ジャイアントワームが魔法に弱かっただけだ。それに、私たちは特別強いわけではない。平均程度だろう」  対してクールに答えるナキア。彼女の言う通り、ゾルゲ一行は冒険者の中ではちょうど平均的な強さのパーティである。  場数を踏んで連携を覚えれば、数年足らずでマイクとエルメスにも追い付けるくらいの実力だ。
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