第1話 ダンジョンを作ろう!

17/33
19809人が本棚に入れています
本棚に追加
/705ページ
「召喚魔法か。他の本は?」 「この一帯の地図とか。もちろんただの地図じゃないよ。ダンジョンを作れるような、各地の魔力と環境が載ってる地図。こっちはダンジョンコア専用の特別品だね」  フールが試しに地図を開いてみると、それは読めない言語で書かれていた。  この大陸の言語は統一なので、おそらくユウの母国語だろう。魔法の本の方はこの世界に合わせたものなのか、フールでも読める言葉だった。 「よしと。ユウ、召喚魔法の方は俺に任せてくれ。こっちの地図は俺じゃ読めないから、よろしく頼むわ」 「そう? ならお願い。この本に書いてる召喚魔法陣って奴さえ読解できれば、あとは魔王の間に残ってる魔力で召喚できるはずだから」  ユウはポンと本をフールに投げ渡す。フールはその本を開くこともなく、立ち上がった。  いぶかしむユウにニヤリと笑顔を返すフール。 「読まないの?」 「俺、勇者だぜ? 勇者の能力、見せてやるよ」  本を片手に魔王の間まで歩きだす彼の後ろを、地図を持ったユウが飛びながら追いかける。  実はすでに、ユウは地図の方は読み終えている。めぼしい場所も見つけ、後は召喚魔法だけという状況だったのだ。  ユウに才能がないわけではなく、魔法陣を描くのにはかなりの技術を要する。  一つ一つの術式の意味を理解し、それら全てが潤滑に繋がるように描き、自分の欲する効果を生み出す。  これは並大抵の事ではない。百を越える術式のどれか一つでも間違ったりズレたりすれば、魔法陣はなりたたないのだ。  魔王の間まで上がってきたフールは、おもむろに小さな瓦礫を拾い上げる。 「何を召喚すればいいんだ?」 「……マナクリスタル」  マナクリスタルとは魔物の一種であり、動くことも戦うことも、ましてや話すこともできない無機物。  長い年月に渡って魔力を浴び続けた鉱石が変質して生まれる魔物だ。  無尽蔵に周囲の魔力を吸収するという特性を持つが、人間からすれば、「洞窟とかに転がってたら面倒」くらいの存在である。
/705ページ

最初のコメントを投稿しよう!