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ぶわっと、威圧するかのように大きい悪いタイプの気配がする。
真っ黒で、…どこか、悲しいような。
なんなんだ、なんなんだ一体。
…気配はすごい勢いでどんどん近づいてくる。
もしかして、俺の所に来てる…?
うっすらと、冷や汗をかいたおでこを左の服の袖で拭く。
右手にはもうバッチリ符を持ってる。
臨戦態勢は完了。
いつでもこい。
緊張しながら、ドアを見つめる。
それからまもなくコンコンっとドアのノック音が聞こえ、その後ノブが動いた。
黒い煙のような物が見えた。
(来る!!)
符を構え、発動しようと符に気を巡らせた所で、聞き覚えのある声がした。
「ス、スイー……」
帝斗の声だ。しかし、あまりにも悪霊など、怨み辛みの気が引っ付いており、真っ黒で陰陽師の俺にはそれらで帝斗の姿が見えなくなっている。
なにこれヤバイ。
「…な、なに。どうしたの。」
「…よ、っハァ…よく、わか、んないん…だけど……な、ん…っだか…体が、変…っ。」
辛そうに、途切れ途切れに帝斗はそう言うと、フラりと帝斗の体が傾いた。
とっさに、黒い煙を身体中に引っ付けた帝斗(だと思う)を抱き止める。
……あ、ヤバイと気づいたのはは抱き止めてからだった。
グラッと、俺の視界が揺れる。
そして、バタンっという音と一緒にくる背中への衝撃。
一瞬、息が出来なくなるほどの激しい痛み。
そして、体にかかる人一人分の重さ。
……あぁ、もう勘弁して欲しい。
押し倒された。
俺の首に付けている魔方陣のペンダントのおかげで、あんだけあった帝斗にかかってた黒い煙が大体は晴れた。
さすが俺の手作り。効果抜群。
そのおかげで、見えた帝斗の顔。
妖艶に見つめてくる翡翠の瞳。
…何故友達に押し倒されないといけないんだよ。
俺がなにしたってーの。
男だぞ男。
一瞬でもドキッとしてしまった自分をぶん殴りたい。
今だ、妖艶に見つめてくる帝斗。
段々、顔が近づいてきた。
なに?キスか。
残念だけど………させるかドアホ。
「とり憑かれるなって…正気に戻れ。」
帝斗のおでこに符をペタッと引っ付け
「彼の者を浄化せよ。…『水蓮華-スイレンカ-』」
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