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ふわりと、帝斗の周りを冷たい風が一瞬通る。
その風は、一瞬で通りすぎて消えた。
まるで、今のは気のせい思えるほどに。
でも、確かに今の風は吹いた。
帝斗の、周りに残っていた黒い気も全て消えて、浄化された。
なにもかも、悪い気、悪霊、全て浄化して、全てを綺麗な気にする水蓮華。
残るのは、綺麗な気のみ。
俺も、あんなふうになれたらいいなぁ……
光になって無くなった符を思いながらはっと気がつく。
いやいや、風を羨ましがってどーすんだ。
俺には俺のよさがある。
例えば………あるのか?
と、ここで気がつく。
帝斗。
目前に迫った帝斗の顔。
今、祓ったせいで多分意識が飛んでいると思う。
支えるのは?
\俺しかいない!/
右手は?
\符を持つポーズで押さえられない!/
左手は?
\床の上!/
つまり?
グラリと力を無くし倒れてくる帝斗の顔。
もともと、俺にキスかなんかしようとしてきたポーズ。
と、なると………
「───────ッ!?」
唇が、当たる。
キスだ。くそ、やられた。
自分の失態と、現状に思わず叫びたくなるが、冷静に冷静に。
右手で、帝斗の顔をずらして息を確保。
そして、左手で反対側を押さえながらゆっくりと床に下ろす。
上に乗ってる体は、体をずらして落とす。
……もう、やだ。
俺のファーストキス…なんて女々しいことは言わないけど、なんだよこの偶然が重なりあったような結果は。
腹ただしい。
第一、自分だけが覚えてるのがムカつく。
いや、覚えられてたりしたらもっと嫌だが。
ちらりと、整った隣の顔を見て思う。
殴りたい。
……犬に噛まれたってことで忘れるか。
とりあえず、帝斗をベッドに運ぼう。
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