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「……ん…?」
「あぁ、起きた?」
帝斗をベッドに寝かせてから10分ぐらい経った。
キョロキョロと、体を起こして周りを見渡す帝斗。
「…スイ?」
「うん。ここ俺の部屋。」
「なんで顔赤いの?」
「……ちょっと黙ってくれる?」
「…ちょっと目赤くない?……泣いたの?」
「…喧嘩売ってんのか。言い値で買うぞ。」
なんでこうドストライクで嫌なところをつくんだよ。
帝斗はなんで俺が怒ったのか分からないようで「なんかごめん」って謝った。
…まぁ、今のは俺が悪かったな。
「…や、俺が悪かった。八つ当たりごめんな。現状わかる?」
「……俺、なんか急に体がなんか変な感じになって…どうしたらいいのか分からなくなってスイの所に来た。」
「うん。だね。」
「……で、倒れたんだよな。ごめん。」
「はいはい、気にしない。……今は平気?」
「うん大丈夫。」
「そっか。」
よかったと、心の中で胸を撫で下ろす。
俺を押し倒した所から意識無かったんだな。
悪霊は、陰陽師系の力を持つものに、より近づこうとする。
力を取ろうとするから。
だから俺を押し倒してきたんだろうけど。
覚えてないのは、気まずくならないから万々歳としておこう。
「じゃあ、いつ頃調子悪くなった?」
「確か、一人で部屋に行ったときから。」
つまり、一人になったらってことか。
「じゃあ、どんな感じになったんだ?症状は」
「えっと…なんかこう、胸が押し潰されそうな感じ…と、体がズシッと重くなったような、そんな感じ。
「……大体把握。ちょっと大人しくしてろよ?」
「?どうした?」
確認したいことがあり、帝斗の頬を軽く掴み、顔を近づける。
「な、なに?」
「すぐ終わるから動くなよ」
ピタリと、おでこを引っ付ける。
そして、目を閉じる。
ゆらゆらと頭に流れ込んでくる。
さっきまで帝斗に引っ付いてた気のほんの欠片と、ほんの微量の悪霊の気配。
「………そーいうこと」
「……。」
確信してゆっくりと、帝斗から離れる。
原因は、神子への過度の期待からの恨みとかプレッシャーみたいなもの。
つまり、神子に皆が頼りすぎてるってことだ。
分かりやすくいうと神様だ。
いいことがあれば神様に感謝する。
けれど、悪いことがあったら神様を恨んだり、憎かったりすることがある。
そんな感じだ。
それが気となり、神子である帝斗にのしかかったと。
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