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■■■棗side■■■
よほどの事がない限り昼休みは社会科準備室で過ごすのが私の日課だ
しかし先日から何故かこの部屋にもう一人常連が増えた
1Aの市橋陸…
先日、友達の前川紗雪と別れた男
特に本を読むわけでもなく、ただソファに座って昼食を摂った後は大概寝てる
寝るんだったら保健室や屋上にでも行けばいいのに…
市橋…
別にこいつの事を嫌う理由はないけどさ…
私は自分が思ってる以上に「市橋」と言う苗字にトラウマを抱えているらしい
こいつはあの男とは違う「市橋」だと言う事はわかってはいるけど…
『お前さ、毎日ここにいるけど昼休みは友達と過ごさないわけ?』
突然投げかけられた質問
ってかそれ言うなら君も同じだろ?
『そう言う君はどうなの?』
ごめん、とてもそっけないのは自分でもわかってる
だけど君が「市橋」である限りどうしても警戒してしまう
『俺はほとぼりが冷めるまで避難してんの』
そう言えばこいつ女たらしだったな…
さしづめ、女から逃げてるって事が理解できた
ふーんとだけ返すと部屋はしんと静まり返る
私は君と特にこれ以上関わる理由なんてないから寝るならさっさと寝てくれないかな?
『暇だし少し会話しようぜ?』
私は生憎暇じゃないんだけど…
『会話って何を話す事があるの?』
話し相手欲しいなら彼女達のトコに行けよ
『…何でそんなに俺の事邪険にするわけ?』
『邪険になんてしてないよ…
君と関わる理由が特にないだけ』
やっぱり邪険にされてるって思ってるんだ…
無関係の君にまで怪訝な態度を取っている事は謝るよ
心の中で
だけど、確かに一つ気になる事がある
自分の思ってる返答が返って来たところでどうしようもない事はわかってはいるけど
『じゃあさ、私から君に一つ質問』
『何?』
『君って兄貴いる?』
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