高一の二学期より始まり

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      先生はその女から数冊のマンガを受け取ると早速読み始めた       おいおい…     俺らの前回の授業確認は?       そして例の赤メッシュの女は何の躊躇いもなく俺の隣りに座った        『ヨリちゃん、お湯ある?』       『そこにポットあるわよ』       まるで俺の存在などいないかのようにコンビニ袋からカップラーメンを取り出した       『ヨリちゃん、お茶飲む?』       『ん、じゃあ淹れて』       『了解』       おいおい、いいのかよ…       まるで自分の部屋のようにさっさとお茶を淹れると先生の机に湯呑を置き       自分の手元にもちゃっかりお茶を淹れて啜ってやがる       ってか俺には要るか聞かないんだな…       唖然とこの女を見ていたらふと目が合った…       『…何?』       第一声目が『何?』と来た!     『いや、別に…』       その女の目線は俺の昼飯に移った       『飲み物あるみたいだけどお茶欲しかった?』       『いや、別に…』       俺の受け答えを待つ前にその女はラーメンの蓋を開け、中をかき混ぜ始めた       …ってかまだ三分経ってなくねぇ?       『ヨリちゃん、この前ヨリちゃんが言ってた本借りて読んだけど    確かに面白かった!』       『でしょ!きっと柳瀬さん好きだと思ったのよねぇ』       『若干BL要素もあったね    私BL嫌いじゃないから楽しめたよ』       BL要素のある本なんか図書館に置くのかよっ!       『歴史上でも厩戸皇子は謎多い人物だったからねぇ    色々な仮説が飛び交ってるから』       『うま…やど…?』       聞き慣れない人物名…       『聖徳太子の事』       だったら聖徳太子って最初から言えよっ!!       何、何なのこの女?       歴史オタクなわけ?       『ヨリちゃん、マンガ後にして先にお昼食べたら?』       さっきからこの女、先生にヨリちゃんヨリちゃんってタメ口聞いてるけどさ…       この先生定年近いんじゃ…       先生も先生だろ…       先生、一年生相手にフレンドリーすぎやしねぇ?       少し年齢考えたらどうだろうか…       いや、悪い事じゃないと思うけどさ…         .
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