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「俺はな~東雲。
正直教師だからって威張るつもりなんて全く無いし、敬って欲しいとかも思ってない訳~。」
疑問には答えは返して貰えないのかは判らないが、いきなり橘さんは真面目な口調で話し出す。
まぁ本人は至って真面目なんだろうけど、机に肘を付いて手の平に顎を乗せて話してるその体制は全く真面目そうには見えない。
しかも相変わらずの眠そうな口調に顔まで眠そうな為、不真面目に見えるのが残念だと思う。
けれどそんな事は思っていても言わない。
俺は無言で橘さんの話の続きを促す。
「けど真剣に教師って仕事をしてる訳~。」
そんな事は言われなくても解ってる。
教師も生徒も結局は人。
やる気の無い人間や自分勝手にしようとする人間には、いくら教師だからって生徒は付いていかない。
橘さんが気安く他の生徒に愛称で呼ばれてるのは舐められてるって訳ではない。
ただただ普通に慕われているだけ。
普段から不真面目(眠そう)に見えるのが欠点なんだが、実際はかなり真面目に生徒達と向き合ってるってのが傍目から見ても解る。
だからこそ俺は今まで極力橘さんとは関わらない様にしてきたんだから。
真剣でしかも感が良ければ俺が普通の生徒とは違うって気付かれそうだと思ったから。
だが俺は橘さんを甘く見ていたらしい。
不自然さを極力消してたつもりなんだが、どこかで見破ってたらしいってのが橘さんの視線で解る。
「・・・それで?俺にどうして欲しいんですか、先生?」
解っていても敢えて橘さんに問い掛ける。
「まずは敬意もクソもない敬語は無しにしようか。」
いつもの語尾を延ばす口調を無くし、まるで脅すように言ってくる。
ほぅ、と思わず関心してしまう程の威力はあった。
まぁそんな威嚇では俺には全く聞かないが・・・
しかしいつまでも偽って会話する事は無理そうだと判断する。
「他には?」
俺も橘さんに負けず劣らずの威力の威嚇をしながら再度問い掛ける。
「呼び方だな。
お前に先生って言われると何か判んないが、鳥肌が立つんだよ。」
そこまでかよ・・・と脱力する。
勘が良いのかなんなのか判らないが嫌な才能だと思う。
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