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「・・・いつまでもこんな会話してても仕方無いしな。
分かった。普通に話せば良いんだろ、橘さん。」
敬語も無く普通通りに話せば、橘さんは満面の笑みを浮かべる。
普段からそんな風な真面目な顔してればさぞかしモテるだろうに。
元はかなりイケメンな部類に入るのに、かなり勿体無い。
まぁ、橘さんの性格から言ってモテたいと思ってるかどうかは疑問だが・・・
「橘さん、ね。
まぁ先生よりかはずっと不自然ではないな。」
正直橘さんって言い方まで嫌がられたらどうしようかと思ってたから、その点だけは良かったなと安心する。
「それで、こんな話をする為に呼んだ訳じゃ無いんだろ?」
「あぁ、そうだった。
いやぁ~ずっと呼び方が気になってたから思わず言っちゃったんだよね。」
そう言いながら、先程まで見ていた書類を俺に差し出してきた。
それをよくよく見てみるとただの俺の成績表だった。
「・・・?」
正直そんな物を見せられたってどうしたら良いのか判らない。
「俺は前から東雲が進学するって聞いた時から疑問に思ってる事があるんだ。」
「・・・その前に一つ良いか?」
橘さんが抱いてる疑問ってのはかなり気になるがどうしてもその前に言っておきたい事が出来てしまった。
橘さんは不思議そうにしながらも視線で続きを促してくる。
「俺が橘さんって呼ぶように、俺の事も東雲じゃなくて、零って呼んでくれないか?」
普通に考えて教師が生徒の事を名前で呼ぶなんて事は無いと分かっているんだが、俺の本質を曝け出す以上苗字ではなく名前で呼んで欲しい。
俺は俺であり。東雲ではないから・・・
「・・・・・・分かった。」
多少は悩んだようだが、俺の真剣な表情から橘さんは頷いてくれる。
やはり良い人なんだろうな、と思う。
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