1-1.平穏な生活

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「すまない、話の腰を折ってしまって。 それで何を疑問に思う事が?」 聞きながらもやっぱり進学するって言ってる事に対しても違和感を感じてるんだろうな、と確信めいた予感がする。 「零、お前は本当に進学したいのか?」 やはりそうかと思うと同時に、やっと聞かれたかとも思う。 前々から気付かれてるだろうなぁとも思ってたし、橘さんの性格からもいつかは必ず聞いてくるんじゃないかと思ってたし。 「何でそう思う?」 思わず疑問を疑問で返してしまう。 それほどまでに感が良いのか、それとも俺がどこかで見破られる様な失態を起こしたのかは確認しておきたかったから。 「確かに成績はこの学校の誰よりも良い。 常に学年トップを維持してる。 普通に考えたってそれを維持しようとするならかなりの努力が必要なんだろうな、って予想も出来る。」 確かに和真も美桜も成績はトップクラスだが、俺には適わなくていつもテストの後なんかは「又、負けた~」とか言われる。 けれど俺にはこれ位のテストじゃなんの苦にもならない。 その為みんなの様にテスト前に齷齪(あくせく)しなくてすんでるんだけど。 「でも何なんだろうな。 高3のこの時期に生徒から感じる、焦りとか不安とかそういったもんが零からは一切感じられない、っていうのが一番の要因だな。 他にも無い事は無いけどそれが一番の理由だな。」 まさかそんな事を言われるとは全く予想していなかった。 確かに皆と違って進学も就職もさしてあまり考えてないだけに、そうかもしれないとは思うが普通そんな事まで気付くかぁ? 特に俺なんかは進学するに当たっては全くの心配ない位の成績を収めてるだけに、それに気付いたとしても余裕だと思ってんだろうな。くらいで終わるだろ、普通。 にも関わらずそんな風に突っ込んでくる橘さんは余程生徒の事見てんだろうな、と思う。
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