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しかし、何て言って誤魔化せば良いのかを瞬時に考える。
素直に気配で気付いてるって言えれば良いんだが、当然そんな訳には行かないし。
気配なんてものを察知出来る生き物はこの世界にはいないから・・・
「・・・え~と、何となく?」
しかし上手く誤魔化せる理由なんて思い付かずに、大した返事は出来なかった。
今後の為にも次からは気付かない振りをするか、適当な理由でも考えておかないとな、と思う。
「へ~零って凄いんだねぇ。」
感心した様に頷く和真を見て、皆が皆これ位単純ならなぁ、なんて感想を抱く。
まぁ、これが和真の魅力なんだろうが。
それにしてもこれからもこんな風に過ごして、和真はいつか騙されるんじゃないだろうか、等と頭の片隅で考えながら学校までの道程を和真と他愛ない会話をしながら歩く。
そうこうしている内に校門前まで辿り着くとそこには生徒会の人達が集まって、登校してくる生徒達に挨拶をしているのが見えてきた。
自分には全く関係無いが毎朝よくやるよなぁ・・・なんて思ってしまう。
「おはよう。和真、零君。」
その内の一人が俺達に気付いて、笑顔で駆け寄ってくる。
「おはよう、美桜。」
和真も同じように駆け寄ってきた人物ー君島 美桜(キミジマ ミオ)ーに対して笑顔を向ける。
「おはよう、君島さん。」
俺も和真に遅れながらも挨拶を返す。
和真と同じ様に満面の笑顔って訳では無いが。
「ん~まだ、私の事君島さんって呼ぶの!
友達なんだから和真を呼び捨てで呼ぶみたいに、私の事も美桜って呼んでって言ってるのに!」
「そうだよ!美桜って呼ぶってこの間約束したばっかりじゃないか!」
二人して怒りながら詰め寄ってくるのを見ながら、名前で呼ぶ約束なんてしたっけ?と考えを巡らせる。
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