序章:キチガイ幼馴染みは突然に

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「――で、あるからにして」  と、本校社とは別に建てられた体育館に校長の声が大きく響く。 高校二年の始業式の日。俺、田村秋斗は始業式名物「校長先生の長いぃ話」を聞かされていた。 かれこれ二時間は過ぎ、俺の周囲であくびを連発するものも出始め、先生方にいたっては時間を確認し始める人も出てきた。 正直、なんでこんなに長く話せるのかと毎年、毎年疑問に思ってしまう。 こんなにも長く話せるのは、俗にいう年の功というやつなのだろうか?と考えていた時だ。 「そして――ムッシュ!?」 と、校長が謎の奇声をあげて僅か宙に浮くと、なんの抵抗も無しに倒れた。 その瞬間、周囲が騒がしくなる。  その騒がしい状況を無視して保健室の番人である田中が校長の状態を確認していた。 しかし、誰が狙撃したのだろうと周囲を確認してみるが見つかるわけもない。 そして何となく、校舎が見える方の窓に目を向けた。 「ん?……人……なのか?」 向けた先に、わずかに動く物体を見た。距離があるため詳しく確認できないが、物体が動いた際に長い何かが靡いていた。 恐らく髪の毛か何かだったのだろうか。 だとしたら狙撃班は、女性だという事になるな、と俺が推理していると、確認が終わった田中が立ち上がりこちらを向くと―― 「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!お前らぁぁぁ、校長がお亡くなりになったぞ!!」 堂々と、校長の死亡を宣言した。
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