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「したとしてもこれよりひでぇよ。でも、あいつはロシアの実家にいるからいなくて正解だろ」
「おいおい、自分の将来の嫁さんに随分とひでぇこと言うな」
と、雄一郎と俺はくだらない話を続けた。
校長の埋葬に手間取ってるのか、教師は1時間たっても来ることはなく、時間ばかりすぎた。
そんな時だ。雄一郎が変わった話題を振ってきた。
「なあ、これだけ時間がかかるってことは、もしかしたらあの話は本当かもな……」
「あの話ってなんだよ」
「いやさ、大分前からだけどさ。転校生がこの学校に来るって噂があったんだよ。もしかしたらそうじゃないかってさ」
「そんなもん噂だろ?ありえないって」
「だよなー!」
その話を聞いた俺は軽く受けとめ雄一郎と笑った。
この時期に転校生は無いだろうと思っていた。ただし、あの屋上の人影の事は引っ掛かっていたが……。
※
それからまたも30分。
ようやく担当の教師がやってた……はずもなく――
保健室の番人である田中がやってきた。
担任はどうした担任は!
「えー、校長先生の埋葬は終わりましたのでホームルームはじめます。」
何事もなくホームルームを始める。そして大体の事を終えると急に田中が扉の方を僅かに見た。
それはほんの一瞬だったが。
田中は一拍置いた後、口を開いた。
「さて、突然だがこのクラスに新しい仲間が増える。」
その瞬間、クラスがざわつく。俺と雄一郎は顔を合わせる。
噂は事実だったらしい。
「では入ってきなさい」
田中の言葉と共に、教室の扉が開いた。その後入ってきたのは女の子だった。
容姿端麗といっていいくらい美しい白い長髪の少女。
ただし、一点を除いて。
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