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はぁ!!はぁ!!はぁっ!!
…っくっ!!ふ-!ふ-…。
ここまで来ればもう大丈夫だろうか。
夕暮れ時の冷たい路地裏に俺は滑り込み、息を潜める。
複数の足音が近付いてくる。
心臓が破裂しそうに痛い。
「おい!!あっちも探せ!!」
「こっちにもいない!!」
「くそっ!!柊の奴どこに隠れたんだ!」
「……ちっ。覚えてろよ……。探せっ!!」
男達の怒声が足音と共に遠ざかってゆく。
俺の名前は、柊 雪(ヒイラギユキ)。
一体、俺が何をしたというのだ……
なぜ逃げなきゃいけないんだ。
髪は乱れて、服は所々やぶれてボロボロ。首から下の体なんて、殴られて散々痛めつけられて更にボロボロ。
もちろん、やったのはあの追い掛けて来た男達。
毎回毎回、逃げては見つかって、またボロボロにされて…を繰り返してる。
どうして放っておいてくれないんだ!!なぜ、俺なんだ!!
体も痛いけれど、心ももう限界かも……
12月の寒気が今の俺の傷だらけの体を容赦なく刺してゆく。
何もかもいらない。
どうすればいい?
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