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とりあえず、この路地裏は寒いし、このままじっとしていてもあいつ等が戻ってくるかもしれない。
本能なのか、足を引きずりながら歩いた。
大通りを横切れば俺しか知らない秘密基地がある。今日も秘密基地に行こうしたが足が止まった。
向こうは気付いていないみたいだが、前方にあいつ等が居る…。
逃げなきゃ!!
踵を返したが、後方にも!
もう痛いのは嫌だっ!!ギュッと目を瞑った。
ピコぉ-ン♪
突然鳴ったマヌケな電子音に振り向くと、デッカいマンションの自動ドアが開く音だった。
考える余裕もなく、マヌケな電子音のした自動ドアに駆け込むと背後で、マヌケな電子音を発した自動ドアが閉まった。
暖かなロビーは秘密基地とは全く違い快適だった。
しかしながら、こんなボロボロの格好では不審者バリバリの怪しい人物でしかない。
暫くの間だけでも休みたい。
「屋上…に行こうかな。」
暖かいロビーは名残惜しいが、空を見たいような気分だった。
「ははっ。カギ閉まってるじゃん。」
屋上の扉は施錠されていた。
が、ここは俺の特技を発揮する時だ!
俺の特技。カギ開け(ピッキング)。
カチリっ。
容易に屋上のカギは開いた。
「ちょろいな。」
ドアノブを捻ると無風の建物の中に冷気がなだれ込む。
「うわぁー。やっぱり高い場所は違うなぁ。」
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