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「で。君は何故あんな事しようと思ったんだ。」 ご飯を食べ終わった後、俺はこの綺麗な顔の男に質問責めにあっている。 腹が膨れた事により、思考も少し鈍り、俺は何もかもペラペラと口にしていた。 「だぁからぁ、もう何もかも棄てたかったの!!何もいらないのって何度も言っただろ!?」 「ふぅーん。」 綺麗な顔の男は腕組みして暫く考えていた。 そして、何度かうんうんと頷く。 「よし!!決めた。君はもう何も要らないと言ったね。」 「ああ。」 「なら、君は俺が止めなければあの時死んでいた訳だ。」 「25階のマンションの屋上だそ?確実に死んでたね。で、俺はこの世からバイバイ出来てた筈だ!」 「うん。じゃあ、死んだ事にすればいい。」 「はあ!?」 「君は死んで何もかも棄てたんだろ?じゃあ、君の事は俺の自由にしていい訳だ。」 ……。意味が全くわかりません。しかし、嫌な予感がする。 「今から君は俺の物。俺が何をしようが俺の自由だ。決定!!」 「はぁぁぁぁ!?」 死のうとして、助けられて、俺の物宣言されてしまった俺。 何もかもいらないって言ったけど、何なんだこれは。 綺麗な顔の男は満面の笑みを浮かべている。 「俺は黒木 冬矢(クロキトウヤ)。君は?」 「柊 雪。」 「柊雪か。雪、これから宜しく。」 「よ…よろしく…」 あっ。つい握手してしまった…… 「じゃあ、俺はこの辺で帰るよ。助けてくれて有難う。飯、旨かったよ。」 そう言って立ち上がろうとしたら、綺麗な顔の男、もとい黒木冬矢に止められてしまった。 「何言ってるの。雪は俺の物だろ?ここが今から雪の家だよ。」 にこりと天使の笑みで微笑む黒木冬矢を目の前に、俺はただポカンと間抜けに口をあけた。 こうして、俺と黒木冬矢の妙な同居生活が始まったのだった。  
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