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2.
「全く……お前の所為で俺までとばっちりを食らったじゃないか!一体この落とし前をどうつけるんだ!」
すでに三時限目が始まっていて、人気もまばらな食堂に、金城は、がつがつと天丼を食べながら僕に怒鳴った。
お願いだから、食べながら会話をするのは本当に止めて欲しかった。
食堂には、微かにだが、クラシック音楽が流れていた。これは食堂だけに留まらず、全ての講堂で流れているものであった。あまりに心地良い音楽なので、食事中は最適なのだが、いかんせん金城の怒鳴り声でそれがかき消されていた。
何とか止めてもらおうと、僕は、
「だから……何度も悪かったって言っているじゃないか! 何で許してくれないんだよ」
と、金城に何度も懇願したが、金城はどうやら許してくれる気配を見せない。
「いいや! 許さないね! 後でカツ丼を奢ってくれないと俺は許さない」
「ちょ……! それは話にないぞ! これで饂飩、天丼と二品も奢ったじゃないか! その上カツ丼だなんて……。何だよこの『丼』パレードは! お前はどん兵衛かよ!」
僕は、一体何のオチがあるのか分からない変な笑えないネタを踏まえながら批判した。
そう、金城の『覚悟しておけよ』は、『昼飯を好きなだけ奢らせろ』という意味だったのだ。普通ならこんな条件誰も呑まないが、生憎僕は、何故かこの条件に乗らざるを得ない状況に陥ってしまっているのだ。
月末は特に金が少ない。バイト代は、家賃、光熱費、水道代、税金、に消えて、余った金を生活費にしているため、本当に僕の生活は綱渡りの状態なのだ。授業料は奨学金を借りて何とかなっているが、それでもきついものはきつい。
饂飩、そして天丼を奢ってしまった……合計で千円ほど。これで僕の今月の残りの食事からサラダが消えたな……とささやかな楽しみという名の花弁が一つ散っていくのを感じた。
そんな絶望に打ちひしがれている僕の横で、僕のネタに対して、
「それ、饂飩だけ違う字じゃない。全然パレードになってないわよ」
と、トレイを持ってツッコミながら佇む二人の女子の姿があった。
「うるさいなあ。ほっといてくれ!」
二人はクスクス笑うと、僕の隣と、向かい側に座っている金城の隣に座った。
二人は、それぞれ違う物を頼んだようだった。
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