サンタは良い子にやってくる?

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「っくしゅ………さむっ」 余りの寒さにくしゃみで目を覚ます。 ぶるりと震える体を擦りながら、辺りを見回した。 「……は」 一面の白銀。 空にとどきそうなもみの木。 音も存在も全てを無に返すような世界。 「ここ…、どこ……」 俺はこの時小学2年生だった。 「誰かいないの…?」 俺が産まれてすぐの頃、 父さんは亡くなった。 ほとんど父さんの記憶のない俺は、 当然のようにいつも母さんが隣にいた。 頼れる人なんて母さんしか知らなかった。 「母さん。母さん…?」 まだまだ甘えたい盛りで、 ところ構わず甘えては、よく母さんを困らせた。 確かこのときも、母さんをほとほと困らせたんだったと思う。 「母さっ…、母ざんんー…」 白銀のなか。 異物のような俺は、世界から取り残されたようで。 酷く不安だった。 『どうしたのかな?』 そんなときに出会ったのが、 “おじさん”だったと思う。 おじさんは、赤い服を着こんで、白いひげを生やしていた。 ひげのせいで口許がみえないのに。 にっこり微笑んだ顔を見て、優しそうだ、と思ったことを覚えている。
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