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着いたのは、小さな赤い三角屋根の家だった。
おじさんはソリを止めると、白い大きな袋からごそごそとプレゼントを取り出した。
両開きの窓からすやすやと眠る小さな女の子が見えた。
暖かそうな布団に包まれ、どんな夢を見ているのか、少女は嬉しそうに笑っていた。
ベッドのすぐ上には大きな靴下がかかっていた。
ちらりと見えた白い紙は、サンタさんへの手紙だろうか。
「サンタさん、どうやってプレゼントを置くの?煙突ないよ?」
「ふぉふぉふぉ、見ててごらん」
おじさんは、赤い包みのプレゼントを掌にのせ、もう一方の手でパチンと指を鳴らした。
「え? あれっ?」
いつの間にかおじさんの手から消えたプレゼントは、
少女の枕もとにあった。
「サンタさん!ねぇ今の何?ねぇねぇ」
「さぁて、お次はどこかのぉ」
おじさんは俺の質問に答えないまま、ゆったりとソリに乗り込んだ。
結局何か教えてくれなかったけど、
今思うと魔法か何かだったのかと思う。
魔法なんて俄に信じがたいが、サンタとソリで空を飛んだ時点で既に摩可不思議な世界だ。
魔法があろうが、不思議ではない。
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