序章【ウェンデルの涙】

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「来年で成人を迎えるレディの発言とは思えないね」 「ハミィより年下のおちびちゃんに言われたくない」 人間の成人は20歳であるためハミィは19歳。 対するレオルはハミィの2つ年下の17歳。 成人にも満たない男女の活躍は、瞬く間に人々の耳を駆け巡るのだ。 「だからそのちゃん付け止めなさいっての」 またまたため息をつくレオルは、あきれた様に吐き捨てた。 しかし、それをおちょくり楽しむのがハミィ=レクトラス。 「捻くれちゃん。 おちびちゃん。 好みはおばちゃん」 「最後のは全力で否定させてくださいね。 全力で!」 目を細めで捲し立てるレオルに、ハミィは笑った。 二人は仕事のパートナーでもあり、最も親しい友人関係でもある。 名家の二男としてこの世に生を受け、何不自由なく幼少期を過ごしたレオルが、全てを投げ捨ててトレジャーハンターを志したのも、ハミィとの出逢いがきっかけなのだ。 その話はさておき、歩き続ける事2時間。
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