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「ついに終点、てか」
気が遠くなる程の道のりも、ついに終盤を迎えた。
眼下に伸びる長々強い吊り橋の終わりを目前に控えるハミィ、レオル。
しかし、それは安堵すべきものではない。
「……いつも通り、油断せずに行くよ」
「……あぁ、わかってるさ」
ぐっと緊張感を高める。
目当ての宝をに近づく程に、危険を伴うのがトレジャーハンターの相場であり、二人の経験もそれを十二分に味わっていたのだ。
一歩、また一歩近づくたびに空気が張り詰められる、緊張感。
そこには天真爛漫な少女の顔も、皮肉交じりに悪態をつく少年の顔は無い。
トレジャーハンターとして、プロとして、真剣な表情がそこにある。
「……構えて」
ハミィは両腰に携える二本の短剣を、レオルはその背中に背負う身の丈程の体剣を。
白銀の刃が薄暗い水面にギラついている。
鍛え抜かれた両者の得物は数々の危険を乗り越えてきたと同時に、絶対的な信頼に値するのだ。
そしてついに、吊り橋を渡り終える。
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