嫉妬

5/40
前へ
/148ページ
次へ
放してくれよー、と心の中で彼女に懇願しながら、真に迫るような鋭い視線に訴えかける。つか、どうして睨まれてるの? とっても怖いんだけど。もう、学校遅刻確定だし、自転車を引っ張っても全く放してくれないし、泣きたくなってきた。 「あのー、どうかしたんですか? ……まさか、慰謝料払えとか。そんなの無理です。この間、お金使いすぎて四百円しかないんです」 そう言って、ポケットにしまっている財布を取り出して中身を見せる。 つい二日前、ユキとデート(自称)に行ってお金を使い果たしてしまったのである。 一人勝手に自分を追い込んで焦っていると、相手の女性は深いため息をついた。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加