嫉妬

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けど、ここは彼女を刺激させるようなことは、避けたいので、 「なら、サイン下さい」 希望通りに、鞄からマジックペンと講座用のノートを差し出す。 「なら、って何よ。それに、こんなところでサインするわけないでしょ」 払いのけられて、ふんっと鼻を鳴らされる。めんどくさいなぁ。この娘はいったい何をしてほしいんだろう? 本当に学校に行きたいんだけど。 遅れて講座に参加すると、集めたくもない視線をこちらに向けられるので、一秒経つ毎に行く気がなくなる。 「じゃあ、どうすれば自転車を放してくれるんでしょうか?」 「そんなの簡単よ。ちょっと、私が逃げるのを手伝いなさい」 人差し指を得意そうにピンっと立てる。ああ、巻き込まれるって、こういうことを指すんだろうな。
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