嫉妬

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声をかける暇など一切与えてくれなく、彼女の後ろ姿はすぐに校舎の中へと消えていく。 なんで門前で立ってたんだろう? 学校の門番にでも任命されたのかな。ハハハ。 ……やばい。分かってますよ。僕を待っていてくれたことくらい。こう見えて、人の心情を察するのには長けていると自負している。 今まで数々の試練(主に、遠足の時などに皆の邪魔にならないようにひっそりと黙って幽霊の如くついて歩き回っていたこと)を潜り抜けてきたのは伊達じゃない。 ユキを追いかけるべきなのか、と逡巡していると、突然視界が真っ暗になる。目頭には微かな温もりが。 「だーれだ?」 「どっかのアイドル」 つか、何故それをいきなりするんだよ。
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