嫉妬

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そこから自転車を十分程走らせると、廃れきった工場が見えてくる。昔は、金属の製造工場だったらしいが、随分と前に倒産したそうだ。 まぁ、ここならば文句もあるまい。寧ろ、この町で隠れ家といったらここしかないと断言できるくらいだ。 廃工場の前でブレーキを掛けると、どこぞのアイドルを降りるように促す。未だに彼女のアイドル名が思い出せない。というか、テレビで拝見したことがない。 「ここなら、たぶん誰にも発見されないと思うよ」 「今にも崩れそうな工場ね。お化けと出てきそう」 「どうだろ。お化けが出没したって話は聞いたことないけど。取りあえず、これで僕の任務は完了だね。それじゃ」 向きを反転させると、元来た道を戻ろうとする。そこでまた、後方から目視できない引力のような力で自転車を引っ張られる。
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