嫉妬

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またかよ、と口の中で毒づく着ながら振り返ると、やはり自転車の動きを封じいた元凶は自称、有名アイドルである。 「ちょっと待ちなさい。もしかして、あたしをここに置いていくつもりではないでしょうね」 勿論そのつもりなんですけど。そう宣言しようかとも思考したが、そんなことを言えば間違いなく激昂するのは目に見えていた。 「こっちは学校があるから。終わったらまたここに必ず帰ってくるよ。だからそれまで我慢してて。人は絶対に来ないから」 「ほんとでしょうね。もしここで何かあったら絶対訴えてやるから」 世の中マジで物騒だ。こっちは親切に人助けしてるつもりなんだけどな。 「わかった、わかった。ここなら安全だから、間違いなく」 まあまあ、と語調を和らげて興奮する彼女に歯止めをかける。
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